[へ] への字農法 への字稲作 [米]

への字農法・・稲作の方法論のひとつで、「への字」とは施肥量や栄養状態の変化を表している。元肥はゼロでスタートし、中期に栄養状態のピークを作り、後半はじっくりと実らしていく、米作りのニュースタンダード。
　
　慣行農法の稲作の肥料のやり方（施肥せひ）の基本は、植え付け前に入れる元肥と、穂が出る一月前に入れる穂肥の２回。元肥は、栄養生長のための肥料。田植後、活着すると、稲は元肥を吸い、青々と分けつしながら育っていく。分けつが進み、２ヶ月前ぐらいで茎数が２０本くらいになる頃には、元肥も切れてきて、稲の葉色は、だいぶ色あせた感じになる。この頃が栄養生長から生殖生長への転換期で、中干で一度水を抜き、葉の色合いをみて、穂肥を追肥して１ヶ月後の出穂に備える。
　ようするに、始めはグングン延ばして、間で一度シメる。シメることで開花結実に備え、その後稲穂を実らすため最後追い込む。このようにV字型に間をへこますのが慣行農法だ。

　これとは全く逆の施肥方法である「への字農法」を提唱実践して、新しい技術体系を作ったのが、井原豊さんというカリスマ米農家だった。
　への字農法では、元肥はゼロ（または減肥）でスタートする。稲の生育に合わせて追肥をやり出穂期まで葉色を落とさない。中ジメ→穂肥をする慣行栽培よりも、自然に近いやり方なので、収量も増し、倒伏や病気に強い稲となる。現在では、有機や減農薬・無農薬を可能にする施肥方法の基本となっている。
　への字農法の他にも、元肥料一発一文字農法なども提唱されている。

【詳細はこちら】→「への字稲作」原典はここ

【参照ビデオ】→井原さんの良質米つくり 2 への字型栽培編 (2)[ビデオ]
[参照]→「写真集 井原豊のへの字型イネつくり
[参照]→「井原死すともへの字は死せず―井原豊追悼集