農家になるには? 農業で田舎暮らしを満喫するには? 無計画な田舎暮らしはじめて農業経営10年目、なりゆき農家の筆者が語る、日本の田舎と農村の、夢と現実。失敗しない新規就農、成功する田舎暮らしのコツ。兼業農家からアグリビジネスまで。 |
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「一般企業の撤退に学ぶ」からつづき
O社の農業参入の例をみてみましょう。北海道千歳に7ヘクタールの広大なガラス温室を作って、室内の環境をできるだけ人為的にコントロールして工業製品なみに品質管理し、高糖度トマトを安定生産する計画でした。
O社は身近なところでは血圧計を作っていますが、センサーやリレーなどの電子制御部品の専門企業です。電子制御の技術を活かして、水やり・施肥や温度・湿度調整などの管理作業をコンピュータ制御して自動化することを目指していたようです。ちなみに高等度生産のノウハウは緑健農法と提携していました。技術部門はあと一歩のところまで技術を確立しかけていたが、経営陣が技術的確立を目の前に撤退を決めてしまったという内部事情もあるようです。
参入当時、農業業界でも相当話題になりましたが、ほとんどの農家は「コンピュータ制御でヤサイが作れるわけないよー」と思っていたので、「撤退」のニュースを聞いて、みんな正直ホットしたものです。
経営計画では、年産1400トンで売上7億円目標だったそうです。7町歩で1400トンということは反収20トン、1400トンで7億ということはキロ単価500円。まぁ不可能ではない目標数値ですが、この見込みをもとに18億円のハウス建設費を3年で償還するというのが甘すぎたようです。反収20トンという数値は、はいきなり初年度から出せるものではない、トマトでは最高クラスの収量です。どんな技術を使うにしろ、達成するには最低でも4〜5年はかかると考えるのが,常識です。
農業の栽培技術には「普遍性」は、あまりありません。その土地、その気候、その畑固有のものです。前にも書きましたが「技術は土地に付随している」とも言えるのです。
たとえば施設栽培であれば、ハウス一棟一棟、癖があります。土の性質だけでなく、風当たりや、湿気の持ち方など、微妙に違うのです。「土壌診断の数値では差が出なかったが、この棟は毎年木が出来過ぎになる窒素を控えめにしておこう」「このハウスは若干湿度が高いから、他のハウスより先に換気をはじめよう」このような細かい癖の部分まで、感覚的に捉えて管理することで、ようやく反収20トンのレベルに達するわけです。たとえば病害虫管理にしても、1年1年の失敗に学んでいかなければなりません。何年かやるうちに、その年の季節変化を肌で感じで「今年はヨトウムシが早く出そうだなぁ」など、病害虫防除技術が「勘」として身に付くようになるのです。
ようするに、農業技術とは、「感覚」や「勘」のしめる部分が大きいのです。「科学的な」農業技術ノウハウや農学は、自然現象のごく一部を切り取って見ただけにすぎません。実際の農業経営では、自分の育てる農畜産物の全体の状態を把握して、将来を予測して、できるだけ良い方向に持っていくことが必要です。野菜にしろ家畜にしろ、ひとつの生命活動体の健康状態を管理するのが農家の技術です。生命体の複雑で莫大な量の情報を処理するわけです。細かい科学的な数値やデータにふりまわされて、「木を見て森を見ず」になってはいけません。計算式やデーター集積は、参考にはなりますが、あくまでガイドラインを示すだけです。全体を感覚で大きく捉えなくてはいけません。そして、最後に決断を下すのは、「感覚」や「勘」です。
農業の技術を安定させていくには、五感六感をフルに活かして作物全体を捉え、自分の感性を信じて、年数をかけて結果を積み重ねていくしかありません。
使い古された言い方ですが、「自然相手だから」という一語につきます。コンピュータ制御をしても「自然相手ですから」うまくいくわけがないのです。
どうなるか予測不可能な自然から、すこしでもマシな安定生産ができるよう、せいぜいがんばってみること・・・農業の技術はそんなもんなのです。
さて、北海道千歳の7町歩のガラス温室は、その後どうなったかというと、後日談は以下の新聞記事をごらんください。
→北海道新聞「食業王国の道」
[参照]→ふつうのトマト農家の日々
O社の農業参入の例をみてみましょう。北海道千歳に7ヘクタールの広大なガラス温室を作って、室内の環境をできるだけ人為的にコントロールして工業製品なみに品質管理し、高糖度トマトを安定生産する計画でした。
O社は身近なところでは血圧計を作っていますが、センサーやリレーなどの電子制御部品の専門企業です。電子制御の技術を活かして、水やり・施肥や温度・湿度調整などの管理作業をコンピュータ制御して自動化することを目指していたようです。ちなみに高等度生産のノウハウは緑健農法と提携していました。技術部門はあと一歩のところまで技術を確立しかけていたが、経営陣が技術的確立を目の前に撤退を決めてしまったという内部事情もあるようです。
参入当時、農業業界でも相当話題になりましたが、ほとんどの農家は「コンピュータ制御でヤサイが作れるわけないよー」と思っていたので、「撤退」のニュースを聞いて、みんな正直ホットしたものです。
経営計画では、年産1400トンで売上7億円目標だったそうです。7町歩で1400トンということは反収20トン、1400トンで7億ということはキロ単価500円。まぁ不可能ではない目標数値ですが、この見込みをもとに18億円のハウス建設費を3年で償還するというのが甘すぎたようです。反収20トンという数値は、はいきなり初年度から出せるものではない、トマトでは最高クラスの収量です。どんな技術を使うにしろ、達成するには最低でも4〜5年はかかると考えるのが,常識です。
農業の栽培技術には「普遍性」は、あまりありません。その土地、その気候、その畑固有のものです。前にも書きましたが「技術は土地に付随している」とも言えるのです。
たとえば施設栽培であれば、ハウス一棟一棟、癖があります。土の性質だけでなく、風当たりや、湿気の持ち方など、微妙に違うのです。「土壌診断の数値では差が出なかったが、この棟は毎年木が出来過ぎになる窒素を控えめにしておこう」「このハウスは若干湿度が高いから、他のハウスより先に換気をはじめよう」このような細かい癖の部分まで、感覚的に捉えて管理することで、ようやく反収20トンのレベルに達するわけです。たとえば病害虫管理にしても、1年1年の失敗に学んでいかなければなりません。何年かやるうちに、その年の季節変化を肌で感じで「今年はヨトウムシが早く出そうだなぁ」など、病害虫防除技術が「勘」として身に付くようになるのです。
ようするに、農業技術とは、「感覚」や「勘」のしめる部分が大きいのです。「科学的な」農業技術ノウハウや農学は、自然現象のごく一部を切り取って見ただけにすぎません。実際の農業経営では、自分の育てる農畜産物の全体の状態を把握して、将来を予測して、できるだけ良い方向に持っていくことが必要です。野菜にしろ家畜にしろ、ひとつの生命活動体の健康状態を管理するのが農家の技術です。生命体の複雑で莫大な量の情報を処理するわけです。細かい科学的な数値やデータにふりまわされて、「木を見て森を見ず」になってはいけません。計算式やデーター集積は、参考にはなりますが、あくまでガイドラインを示すだけです。全体を感覚で大きく捉えなくてはいけません。そして、最後に決断を下すのは、「感覚」や「勘」です。
農業の技術を安定させていくには、五感六感をフルに活かして作物全体を捉え、自分の感性を信じて、年数をかけて結果を積み重ねていくしかありません。
使い古された言い方ですが、「自然相手だから」という一語につきます。コンピュータ制御をしても「自然相手ですから」うまくいくわけがないのです。
どうなるか予測不可能な自然から、すこしでもマシな安定生産ができるよう、せいぜいがんばってみること・・・農業の技術はそんなもんなのです。
さて、北海道千歳の7町歩のガラス温室は、その後どうなったかというと、後日談は以下の新聞記事をごらんください。
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