田舎で農業を！ その前に。「農業」と「農」を区別しよう

　田舎暮らしが、この１０年すっかりブームになって、私のところにも、これまで何人か田舎暮らしの相談にいらっしゃいました。私のところにくるということは、たんに田舎暮らしだけではなく、農業をやりたい、という人が多いわけです。
　ところが、「農業」と「農」の区別があいまいな人が、多いと思いました。
「農業」と「農」の区別、これはあくまで私なりの定義なのですが、はっきり区別したほうがいいと思います。

　農業は農を仕事とすること、農は作物を育てるということです。

「農業」と言った場合、とにかくこれで食ってかなきゃいけない、家族を養っていかなきゃいけない、ですから収益を最大限優先する考えです。

「農」ということであれば、作物や土や環境調和を優先するということになりましょう。
　
「農業」とはビジネスのことですから、田畑家畜から、いかに金を生み出すか！　それが重要です。会社経営をするのと同じ発想が必要です。お金にまつわるストレスがあります。

　それにくらべて「農」はいいですよ。採算を度外視して、作物をとりまく小宇宙をじっくり見ながら、人間と自然との調和を目指す・・・少し大きめの貸農園を借りて、「農」にじっくりとりくんで田舎暮らしを満喫してはいかがでしょう？　年間を通して自給野菜を作るだけでもけっこうな作業になります。いろいろな観察をして、いろいろな技術にトライすれば、奥が深いライフワークになるはずです。

収益におわれる「農業」（ただの仕事、お金を気にするビジネス）　
　それとも
心豊かな「農」（ただの趣味以上のライフワーク）

あなたがやりたいのはどちらなのか？　もう一度じっくり考えてみてください。



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農業の学校は意味がない！？

　はっきり言って、農業やりたい人は、農業学校とか行く必要ないです。
　私は行ったことないのですが、モラトリアムとか自分探しの時間稼ぎ的な意味はありますが、その後の農業経営とは、ほとんど関係ないんじゃないかと思われます。

　やっぱり勉強になるとしたら「就農予定地の先輩農家で修行」あるいは「自分がやろうと思っている作物の先輩農家での修行」これ以外に内容のある実習はあり得ないと思います。

　ただ地域によっては、最終的に就農地を確保するためには、当地の農業行政機関の指定する教育機関（就農準備校）で研修を受けることが前提、というとこともあります。そういう場合は、もうその行政機関のシステムに乗っかっちゃうしかないです。ただし、そのシステムが「絵に描いた餅」ではなく、実際に機能していることを充分確認してくださいね。
　
webで農業学校とか検索すると、いろんな学校ありますが
農業系学校のリンク◯　・・・・農業経営と農学はあまり関係ありません。現場では専門知識は必要ないし、農学部にある実践的な情報はインターネットからいくらでも引き出せます。普及員とか肥料屋とか農業周辺の仕事を目指す人むけ。

実践系週末農業学校◯　・・・・月１回の講座では農業体験という感じでしょうが、卒業後就農も可能だそうです。

園芸専門学校◯　・・・・花屋さんとか目指す人にはいいかも。園芸系で使える資格は造園施行管理士ぐらいでは・・あ、これって農業じゃなくて土木か。

無料の園芸専門学校◯　・・・・学費無料です。ただしキツイで有名です。かえって技術と知識が営農のじゃまになることがあるかも？．でも、卒業後のネットワークもあるのでいいかもしれません。

　でも、けっきょくのところ
　農業学校いくくらいなら、やっぱ　資　格　でしょ。

　都会で在職しながら就農準備をするなら、むしろ、農業がコケた時に備えて田舎でツブシの効く資格、とりまくっといた方がいいですよぉ。（私はこの点だけはホント後悔してます）田舎でツブシが効く資格って、たとえば・・・

ホームヘルパ−２級　・・・年寄りばかりの田舎には、仕事はコンスタントにあります。ただ、田舎じゃ実技講習を受けにくいので、都会にいるうちに是非とっておきましょう。最終的にケアマネージャーの資格までとれれば、経済的には安泰。余裕のある田舎暮しがまっています。

電気主任技術者３種　・・・デンケン３と呼ばれるもので、ビル管理の必修資格です。ついでに２級ボイラー技士か危険物乙４もとっておきましょう。（いずれも試験会場が少なく、田舎に引っ込んでから受験しにくくなる）◎最寄りの高校が試験会場になるという記述が以前ありましたが筆者の勘違いでした。お詫びして訂正します。

宅地建物取引主任者・・・いわゆるタッケンです。不動産業に従事していない人は、試験合格後、免許交付のために講習を受講する必要がありお金もまぁまぁかかります。

あとはガテン系で、大型免許がとれればいちばんいのですが、無理でも、玉掛けとフォークの講習は受けておきましょう。
　なお、いずれの場合も、「資格」はたんなる資格であり、実際の就業では、経験と実務能力が問われることは、いうまでもありません。本気で田舎暮らしするなら、まず資格→　その資格で３年間ぐらい勤務　→　田舎へ転職、というパターンが現実的でしょう。

あふれる情報を生かしきれ！

　私が農業をはじめた１３年前、まだパソ通の時代でした。
　私は前職でPCは使ってましたが、田舎に引っ込んだ時PCは持っていませんでした。
　そして２年前、我が農作業小屋にもようやくブロードバンドが、やってきたのです！

　就農当時、農業に関する情報源といえば
　

1. 先輩農家の話
2. 農業雑誌・書籍
3. 農業関係機関の話

うーんそれくらいだったかなぁ。読みたい農業の本ひとつ入手するのにも大変な苦労をしていました。今思えば、インターネット無しで、よくもまぁ農業はじめられたなぁと、それだけは自分でも関心しています。
　まぁ「なりゆき就農」だったからできた、というか、言い換えれば情報不足だったから「なりゆき農業」になってしまい、どうしようもない今があるわけです。

　これだけ情報があふれていれば、ステップ３ところでも述べましたが、実際の就農の前に、かなりのシュミレーションができるはずです。繰り返しに成りますが、必ず自分でシュミレーションできるようになって、何を何反うえたら幾ら、何を幾らで売れば採算分岐点、そういうことを繰り返してください。
　私が、農業をはじめた時代は、収量や価格に関してはほんとに適当なデータしか集まりませんでした。農家は帳簿つけてないし農協も右から左にモノ流すだけでデータ蓄積しようなんて考えなし。そういう時代でした。農協の事務所にパソコンなかったもん！　データ蓄積もできないよね。
　それでもまだバブルの余波があって、適当にやって、けっこう成り立っていた。
　それを見て「なんとかなるかなぁ」と思って農業はじめちゃったわけですが。

　そういう時代に比べると、今はなんて計画的に就農できるんでしょう！　情報を生かして就農すれば、失敗しないと思います。逆にあらかじめ、成功するようなかたちで情報が組み立てられなければ、はじめから成功しません。

　農業やりたいなら、まず勉強・検索・勉強・検索・勉強・検索・・・・・！です