[あ] 雨 あめ 「消えたお天気おじいさん」

雨　あめ

　雨降りは、農家にとって、大切な充填時間・・晴耕雨読といきたいところだが、筆者はハウス栽培なので、雨だからと言って休む理由にならない。
　よく、年寄りに、ハウスは天気と関係ないからいいねぇ、なんて言われるが、とんでもない話しだ。ハウスの内部は、おそろしく外の天気に左右される。透明の密封空間なんだから当たり前だ。とくに葉野菜など軟弱野菜をやる場合は、雨による湿度変化に気を使う。ハウスの壁部分は、開閉可能になっていて、雨の前後にハウスを開閉してまわるのだ。
　露地栽培では、天候の読みと仕事の段取りがとても大事で、間違ったら１年分の収量に影響を与える。半日の降雨の読み違いが、後の仕事を半月遅らすこともあり、半月の遅れは、後でどんどん広がっていく。機械化農業なので、雨の前に、畑に機械を入られたかどうかが、しばしば運命の分かれ道になるのだ。

　webで詳細な天気情報が、いつでもに手に入れられるようになったのが、農家としては、ほんとうにありがたい。以前は、地域ごとの細かい天気情報を手に入れられるのはNHKの午後６：５０分の天気情報しかなく、これをチェックするために急いで家に戻っていたものだ。天気情報を好きな時に見れるだけでも通信費のもとをとってるかもしれない。

　ところで、雨の降り方が、ホントに極端になってきている。少雨または豪雨。そして、気になるのは台風の大型化だ。ここ５０年くらいは沖縄だけだった暴風域台風が本土にも来るようになった。あと竜巻。こいつが来たら、農業は即オワリだ。温暖化すると水蒸気の活動がダイナミックになるそうで、今後、気象変化がますます激しくなるのは、どうやら避けられないようだ。
　ついこのあいだまで、農村の年寄りは、みなそれなりに、天気予報のノウハウを持っていた。が、近頃「お天気おじいさん」に、あまり会わなくなった。
　この１０年で予報が当たらなくなってしまい、あまり天気予報自慢をしなくなった感じがする。さらに、天気予報ができる年寄りが、もう次々引退して集落からいなくなったこともあり、天気はパソコンに聞け、ということになってしまった。

（ちなみに、年寄りが集落に居無くなるのは、街に出ている子供に引き取られるか，施設に入れられるからである。）