[つ] 椎間板ヘルニア ついかんばんへるにあ [農業]

椎間板ヘルニア　ついかんばんへるにあ

　農家の持病ランキングで常に上位にあるのが、椎間板ヘルニアである。

　背骨や腰骨の骨同士のジョイント部分である椎間板が、つぶれてはみ出してしまい、神経を圧迫する、恐ろしい病気（怪我？）である。私はなっていないのでわからないが、ふつうの腰痛とは違う激痛があり、椎間板ヘルニアが持病になると、はっきり言って、仕事にならないようだ。
　
　新規就農者が最も気をつけるべきことのひとつが、腰を痛めないことだ。万が一研修中に、腰に負担がかかるような作業を要求されても、その時は手を抜いてボチボチやることだ。どんなに弱々しいと思われようが、絶対に腰に無理させてはいけない。その加減は本人にしかわからないので、自分の腰の限界点を掴んでおくことが大事だ。

　若いうちは張り切りっていて、腰の使い方にあまり気を使わない。
　耕耘機が故障したのでスコップで畝（うね）を立てちゃったとか、いつも肥料を２体（１体２０kg）持つとか、そういう武勇伝は無いほうがよい。長年の腰の疲れが溜まり、３０過ぎぐらいに椎間板ヘルニアになってしまう。

　筆者の周辺の農家で、椎間板ヘルニアと診断された人は４人いる。
　うち一人は、だましだまし仕事をしているが、もう一人はヘルニアを理由のひとつにして、離農した。
　別の一人は、ヘルニアのために、作物転換を余儀なくされ、鳴かず飛ばずだ。
　最後の一人は、ヘルニアになったのをきっかけに、規模拡大して、従業員を雇い経営者となり、自分自身が腰を使う仕事を減らした。
　これらの話しは、ほんの少しだけ脚色があるが、ほぼ事実である。椎間板ヘルニアは、間違いなく、その後の農業人生を変えるだけのハプニングだということを、頭にいれておいてほしい。

PS　椎間板ヘルニアの治療は、諸説ある。手術をしたらかえって治らないとか、絶対直す先生がどこそこにいるとか、いずれにせよ、かかってしまったら、痛いだけでなく、治療にものすごい労力を使うことになる。
「予防法」もいろいろあるので、勉強しておこう。