[の] 野溜 のだめ [土,技術]

のだめ　野溜　

　のだめとは、肥溜（こえだめ）のこと。のだめは、ポットン厠そのものとは違う。ポットン便所から集めたし尿を、畑のそばの大きめのマスに集め、発酵熟成させて下肥（しもごえ）を作るための、し尿処理リサイクルセンターである。のだめは、日本特有のすばらしい有機循環システムだった。
　理想ののだめの内部は発酵熟成してるので、のだめに溜めた下肥は、決して不潔ではなく、寄生虫の卵も発酵により分解されているらしい。が，実際は、のだめは臭くて農村の回虫寄生率は高かった。
　私の考えでは、ただ畑の隅にためておいても、なかなか「発酵」しないと思う。液体状の有機物を、きれいに「発酵」させるためには、最低毎日一回、丁寧にかき回す（切り返す）必用があるはずだ。臭いということは、発酵しないで腐敗してるからだ。それとも、昔の人は、食べ物が粗食だったから、強い乳酸菌がお腹にいて、ほっといても乳酸発酵したのだろうか？
　現代では、EM菌のような嫌気性微生物が商品化されているので、積極的に微生物を投入すれば、高級な発酵下肥を作るのは可能だろう。嫌気性微生物を利用した畜舎が全く臭くないのと同様、良い匂いののだめができるはずだ。

　最近の農村では、浄化槽の設置が進み、さらには、農業集落排水の工事が各地で盛んだ。ようは都市部の下水道整備が終わったから、次は田舎でという公共事業だが、農業集落排水事業では、浄化センターの汚泥を発酵させて堆肥化するシステムを導入することも多い。いわば、現代の「のだめ」である。
　ただ、下水道への自宅からの接続工事費は税金から出ない。数十万かかるので、下水道は引いたがいいが、接続加入率が・・・ということになる。