[は] 花芽分化はなめぶんか [技術]

花芽分化　はなめぶんか

　植物の成長点は、はじめは新芽で、新芽が大きくなると新葉となって、やがて伸び出して茎になって、つぎまた葉と茎の間に次の成長点が出来て、また新葉が出て伸びて茎になって・・・を繰り返して、こうして植物は大きくなる。
　ある時から成長点は、新芽ではなく、花芽になる。花芽は蕾みになって、花柄が伸びて、花が咲く。花芽も新芽も、もともと同じ成長点なのだ。成長点が新芽から、花芽へと変わる時、この時を花芽分化という。顕微鏡で見て、花芽分化したかわかる。肉眼で花芽を確認できた時よりも、ずっと以前に花芽分化はおきている。
　花芽分化がおきるまえの新葉の頃を栄養成長期、花芽分化の後を生殖成長期という。
　花芽分化の意味は、それぞれの作物によって違う。
　実もの野菜では、花芽分化は、たいてい苗の時におきている。プロの苗作りでは、苗時期の栄養成長と生殖成長の微妙な感じを掴んで、ベストな花芽分化時期をコントロールする。このタイミングで、定植後の成長リズムの流れが決まるともいわれる。
　葉もの野菜や根菜類では、花芽分化はマイナス要因。花芽分化は温度や日の長さがきっかけとなっておきるので、季節と種まきと品種の組み合わせでは、収穫前にトウ立ちしてしまう。キャベツやダイコンの品種がたくさんあるのは、花芽分化時期の違う品種を揃えて、周年収穫できるようにするためだ。
　花芽分化は日長をきっかけにおきることを利用して、花が咲くタイミングをコントロールする電照栽培がある。夜間数時間電気で畑を照らして、擬似的に日が長い季節を作る。タイミングを見て電照を止めると、日が短くなったことに感応して、花芽分化する。例えば菊の電照栽培では春の彼岸の最重要期に合わせて出荷するため、逆算して電照を切る日を決める。
　果樹の花芽分化は、たいてい前の年の新枝が出る時に起きている。その頃の肥培管理やその後の整枝で、翌年あるいは翌々年の果実収量に影響してくるので、長いスパンでとらえる感覚が大事になってくる。