|農業|田舎|事典[み] みみず

みみず

　土を耕すのがいちばん上手なのは、ミミズである。
　土が肥えるシステムは、現代の科学では、あまり究明されていない。
　単純に土といっても、そこには微生物を中心とした複雑な生態系がある、いわば「小宇宙」なのだ。簡単に解明できるわけもないのだが。
　だから、人間は、土の世界のことを、きわめて大雑把にとらえるしかない。
　団粒化というのが、農耕にはベストな土と言われている。土が粒状に集まってほくほくした状態になることだ。この状態を人為的に作り出そうとして、堆肥を入れてみたり、いろいろなアタッチメントをトラクターにつけて耕してみたりする。まぁそれでも所詮は人の浅知恵で、ミミズにはかなわないのだろう。
　団粒化構造を作るには、腐食酸という物質が必用になる。この腐食酸の原料となることを狙って，堆肥を投入するわけだが、堆肥から腐食酸が生み出される過程は、微生物とミミズにお任せになっている。
　ようするに、人は、一生懸命堆肥をいれて、夜中までトラクターに乗って，土作りをしている気分になっているが、微生物とミミズらの仕事に比べると、何やってるんだかよくわからない。
　むしろ、機械による耕起，耕耘（こううん）は、ミミズそのものを殺し、ミミズの住みやす環境をいちじるしく破壊するため、見直されつつある。
　
　理想的には、耕耘は全てミミズにお任せしたいものだ。
　ミミズは土の中を動き回って、無数のトンネルを作り、土の通気、水はけをよくする。ミミズは、土を食べて、どうやらお腹の中に共生する微生物の力をかりて、よりよい土にして、糞として排出する。ミミズの糞からは、腐食酸や肥料分がかなり高い値が出る。だから、耕すのはやめて、土の上から有機物をどんどんかぶせていって、後はミミズにおまかせすれば、後は、特に悩む必用がないわけだ。

　こうした、ミミズ系不耕起栽培の技術研究は今後ますます進むだろうが、合理性経済性との両立をはかり、どう経営に結びつけるか、ひとひねりふたひねりアイデアが必用だ。


[参照]→ミミズといえばキューバのミミズ堆肥