[や] 役員 やくいん [田舎暮らし]

役員　やくいん

　田舎暮らしを語るとき、はずせないのが「役員」である。

　地域によってさまざまだが、農村ではおおむね、ある程度の「自治」が行われている。たいていは公民館を中心に各班があり、班長、公民館評議員、公民館三役（館長・書記・会計etc）などいろいろ役がある。公民館は、地域の年中行事や祭りを中心となってとりしきる。また、行政の出先機関としての役割もあり、班長に、国保税の徴収の仕事が割り当てられる場合などもある。
　公民館活動以外にも、学校のPTA役員がある。子供が少ないところでは、親以外でもPTA役員がまわってくることもある。役員とまでいかなくても、運動会での係や、通学安全確保などは、まわってくる。
　農業者であれば、さらに、農協の生産部会の役員、農協青壮年部の役員、農業共済組合の役員、土地改良区の役員、認定農業者協議会の役員、農業士会の役員、農業機械士会の役員、グリーンツーリズム研究会の役員・・・・・・・など、役員にことかかない。
　だいたい、役員をやるタイプの人は決まっていて、上記のいずれかの役員をかけもちして、毎年役付が無いことは無い、万年役員となる。

　都会から来た人間は、どちらかというと役員がこなせるタイプの人が多いので、役員を仰せつかることが多い。
　どんな会でも、役員を頼まれたら、それだけ認められたということだ。都会出身者は、率先して引き受けよう。
　はじめの数年は、いろんな人に出会えるし、タダ酒が飲めるので、役員の仕事が多少面倒くさくても、充分、もとがとれる。何より、地域社会で自分の存在をアピールできるし、役員を引き受けたというだけで年寄りには感謝されることもある。まぁでも、役員をやるのは「あたりまえ」と思っておいたほうがよいだろう。
　しかし十年たち、役が一巡するころになると、新しい出会いもなく、酒が入ると、毎回毎回同じ話しの繰り返しで（笑）、多少、うんざりしてくるであろう。まぁその誰かの十八番の話を、毎回同じところで笑うのが、田舎暮らしの醍醐味なのだが・・・
　いずれにせよ、誰かがやらねばならぬ役員である。
　田舎暮らしには、一生、役員という肩書きがついてまわるのだ。