[り] 緑肥 りょくひ [技術]

緑肥
　土作りのために栽培する作物。休耕期間に緑肥作物を植え付けて、収穫せずにそのまま畑にすき込む。有機物補給をナマの植物でやってしまう方法。有機物や繊維質の補給、肥料分の調整、連作障害の回避、土壌病害虫対策などの狙いがある。
　たとえばアブラナ科であるダイコンの後には、ソルゴーというイネ科の緑肥を栽培する。科が違うので連作を避けられるし、ソルゴーには大根の大害虫のセンチュウを追い払う力がある。
　田んぼのレンゲも緑肥だ。レンゲはマメ科だが、マメ科植物には、土壌のチッソ分を増やす力がある。レンゲを入れれば、元肥を減らすことができるのだ。
　ハウスにソルゴーを植えて、すき込まずに刈り取ってハウスの外に持ち出す場合もある。これは、ハウス内の過剰養分をソルゴーに吸い取らせて、土をリセットすることが狙い。これも緑肥の使い方のひとつだ。

　田舎をドライブしていると、広大なヒマワリ畑とか、黄色や赤の小さな花で畑一面がうめられている光景を目にすることがある。これらも、緑肥だ。緑肥を栽培するには、それほどのコストはかからないが、ひと手間かかる。土作りのためとはいえ、直接現金にならない作物をわざわざ栽培するわけだ。しかし、金のためではなく、土のために働くのが、ほんとうの百姓なのである。